(浅水を弾く)/tomoaki.t
浅水を弾く
風が汚されたのどをあらう
聴覚のゆめは畸形の吐息
夜からは野放しの天使が
*
生まれたばかり生まれたままで鳥が燃えて、逃げた骨片の表面で水が啼いている。話し声を追いかけてカードの橋を跳ぶように水銀の川を。絵は二十二枚、それを十一の夜とみなし、一夜を除くべきか加えるべきか悩むうちに目前の海に炭酸の花が集った。息が喉から拡がる。丘には放し飼いの爪あとが夜ごと走っている。
*
九十九の浜を
生きたままプリンターの口からは
ぽろぽろとリングの石灰の滓
夜が仮にも夜ならば
結節をデネブとして波を口にふくむことで
「いいから」と言われた背中をみている
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