笛吹き少年の行くえ(8)/Giton
 
〔A〕断片の大部分が隠蔽されてしまったあとも残されている〔A〕由来の2行:

「塵のごと小鳥なきすぎ」

「たゞ深し天の青原」

↑この2行が、非常に大きな意味を持ってくることが分かります。

この2行は、不慮の“事故”によって雪崩れに埋められてしまった少年の・紺の麻服の裾が、雪の中からわずかに覗いている──いわば“巧妙に隠された真実の・わずかに消し残された露頭”だと言っては、言いすぎでしょうか?

たとえ、誰かが、ひとびとの口を栓で塞いで、「口碑」を消滅させることができたとしても、空をちりのように飛ぶ小鳥──それは、風に飛ばされて来るきれぎれの言葉、ないし《詩的テキスト》《文
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