祈り初め(いのりぞめ)/michi
 
参道の脇に佇む小さな社
祓戸(はらえど)神社。
〈もろもろの罪穢(つみけがれ)を祓い清めて下さる神様です〉
そんなことを言う
立て札。

小さかったぼくは
小さかった金魚が
小さく死んでしまって
小さく穴を掘って埋めた
小さな悲しみに暮れながら
小さなこの社に。

夏葉の茂る木立で
今日初めて立て札を読んだ。
背筋を妙に伸ばして
ただ、真っ直ぐに祈った。
声なき声の谺が
空を突いた気がした。

時の波間に漂う、オフィーリアのぼくは。

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