笛吹き少年の行くえ(6)/Giton
 



   下書稿(二)〔B〕

 雲が燃す白金環と
 白金黒のいはやをば
 日天子いま
 みだれて奔りいでたまふなり


まず、制作時期ですが、用いられている用紙(24行黄罫詩稿用紙)から言って1930年ころ以後、したがって晩年の《文語詩時代》と思われます。
内容的に、当初は〔A〕断片とまったく無関係に書かれたものと思ってよいでしょう。すでに「いはや[イワヤ]」が出ており、雲から太陽が現れる「白金環と/白金黒」の気象現象を、天岩戸伝説になぞらえて描いたものと思われます。

ただ、


「日天子いま
 みだれて奔りいでたまふなり」


という表現があり、
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