詩骸のソネット/ハァモニィベル
網膜を行き過ぎる詩語硬直の行列
心は、始めから無い表情を隠し
意味は美を名目に犬となって瞑目する
――沈黙するロバの耳
灰色にずっと燃えている虫はかすかに
茜色の玉を胸にかかえながら、微かに
ピンと張りつめた言葉の上で、幽かに
身動ろぎ一つしない――
和になった趣味の民人たちは旅人を囲み
白々とした緩和辞典を引きまくりながら
手を取って癒やしの微睡みに耽っている
鋭すぎる黄金の槍は錆びた鍵束の如く
抽斗の奥で重い躰を横たえたまま
もうずっと来ない時をまだじっと待っている
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