泣けないときに/
御笠川マコト
理由がなんであれ
泣きたいときって
あるじゃない
管理職だから
泣けないのかよ
トイレの鏡の中
唇だけ不格好にキュッとひいた
情けない笑顔の俺は
無理の塊り
栄養ドリンクで
誤魔化すしかねえな
帰りの電車に並ぶ駅で
線路脇の水溜まりに
妙にほっとしたのは
油の浮いた濁り水に
涙を
連想できたからかもしれません
泣きたいときに泣けないと
十年老けた気がして滅入るぜ
くそっ。
戻る
編
削
Point
(1)