笛吹き少年の行くえ(5)/Giton
 
 雪の蝉
 又鳴けり。
 
     ※
 
 若きそらの母の下を
 小鳥ら、ちりのごとくなきて過ぎたり。
 
〔?…〕 ※

 そらの若き母に
 梢さゝぐるくるみの木
 くるみのえだの
 かぼそい蔓。
 
     ※
 
 そらしろびかり
 くるみとは
 げにもあやしき
 気圏の底のいきものなるかな。
 
     ※

 すこしの雪をおとしたる
 母のみそらのしろびかり
 あらそふはからす
 枝をのばすはくるみの木
 
     ※
 
 雪すこし降り
 杉しづまり
 からすども鳴く、鳴く、
 からだも折れよと鳴きわたる。
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