『iPhone』/あおい満月
死んでいる系のぼくらは
テレビを見ない
酒を飲まない
声を出さない
夏なのに
長袖のジャンパーを着ている
手にはいつも、
iPhoneを持って。
スライドする指だけが饒舌だ
つぶやきに熱を込めて
ファミレスに入る
料理を写真に撮って
詩を創ったりする。
死んでる系のぼくらでも
経済新聞は読んでいる
気になることばを
見つければ切り取って繋げて
詩を考える。
死んでる系のぼくらは
閉じられた世界から
社会を見つめる。
ああ、今日も
マウントレーニアは美味しい。
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