神様の言い分/りす
無傷で帰ってきやがって、と
言われるのだろうな、あの世で。
いや、神様は上品だから
無傷で帰っていらっしゃるなんて、と
やんわりと非難されるかもしれない
かすり傷ひとつあれば
神様は黙って通してくれるだろう、でも
きれいな体ひとつで 天国の門前に立っても
一歩たりとも中へ 入ることはできない
天国とは、たぶん
そういうところだ
なに不自由ない暮らしをしてきたのでしょう
パンと葡萄酒のほかに
食後のスウィーツも食べたのでしょう
神様が僕をにらんで眉をひそめる
神様に気に入られようと僕は
一生懸命に罪の告白をした でも
いくら口を動かしても 声がでない
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