笛吹き少年の行くえ(4)/Giton
 
人誌『銅鑼』5号(1925.10.発行)に発表}


これは、1924年3月24日、教え子の寄宿生を江刺郡米里の実家に送りがてら、五輪峠越えの山旅をした際の作品のひとつ。「五輪峠」では、みぞれまじりの空だったのが、麓に下りて来るあいだに雲が上がって、地平線近くに晴れ間が見えてきたようすです。

次に「白金黒(はっきんこく)」ですが、‥上の「雪峡」のテキストでは「白金の黒」となっていますが、「の」は推敲過程で挿入されたもの。
「白金黒」は、じつは化学用語で、多孔質の金属白金の粉末。各種化学反応の触媒として使われます。
白金は、光沢のある白色の貴金属ですが、まったく同じ成分なのに「白金黒
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