Gの上空/ハァモニィベル
 
遠近法が麻痺した囚われの眼(まなこ)を
墜ちるのを怖れた誤読の盲人たちが崇める
しんなりとした粘性の絨毯は織り上げる程
未来を消し去り 響きを失った時空に
拡がっている 奇妙な、奇妙な諧調


わたしは、寝台列車をキセルしたまま
ガタンゴトン、ガタンゴトンと どこまでも
どこまでも各駅停車をくり返し
同苦の色に塗れた寓喩ばかりを見ている


感情の不良債権は
回収の見込みも無いまま
分別したごみ回収日は
きちんと守らねばならない
人々の
不可視の奥で
折れた骨が痛むところを
日々が囓る


その上では 味のない硬いスルメが
まるで凧のようにびっしりと
空いちめんを埋め尽くしながら
いつまでも 半透明な風の中を
ホラティウスの哄笑とともにクルクルと舞っている








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