傷/葉leaf
 
ところへどんどんもぐりこんでいき正体がつかめない。この蛇は私の傷である、と。

あるいは、私は田園地帯の小屋の外に座り満月を眺めていた。月は低めの空に懸り、その光によって逆に天空の闇を広く生み出している根拠のように見えた。月は平板な顔をしながら実は優れた創造力を持ち合わせていて、この天空の闇は見えないながらも限りなく多彩な構造で満ちているかのように思えた。そして、今この私の感慨もまた、月が創りだしているのかもしれない。その月の創りだしたひらめきにより、私は気づいた。この月は私の傷である、と。光を放つことで明確に存在を主張し、周囲に広く闇を創りだしていく。もちろんこの闇は反転して光となりうる豊かな構造によって成立している。あらゆる創造の根拠となる限りない痛み。この月は私の傷である、と。

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