願掛け/梓ゆい
 

部屋は、けたたましいベルで溢れ

駆け引き以上のやり取りが

男女の垣根を乗り越えて

あちらこちらを行き交いする。。

「はっけよい!残った!!待ったは無い!!」

もう少しすれば

この景色も薄れてしまうけれど

一つ一つを忘れぬようにと

机に向かっている。

「ここで、何が出来たのだろう・・・・。」

子供の頃に、思いを馳せて

証を残そうと粘ってはみても

一瞬で忘れ去られる、ちっぽけな私。

少しの手荷物をまとめて

ここから去り行くのだけれど

転んでは起き上がるこぼしの様に

しぶとく・涼しい顔で立ち上がりたい。

(もう、いいかな?・戻れますように・・・・。戻れますように・・・・。戻れますように・・・・。)

前を見据えて

決意の証に、口一文字を閉じて。。。

「どうかもう一度、銀幕のカーテンが上がりますように。。」

必死にパンパン手を合わせ

東京大神宮に

頭を下げた。。

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