湯豆腐と冷奴/salco
 
い。
尤も、下したのは家族で私だけだが。

 その後だから、三年生か四年の頃、尿意で夜中にトイレへ立った。もう
暗闇も便槽の穴も怖がらずに寝ぼけながら一人で行き、しっかり便器にま
たがって用を足した。しかし実際は口の上だったらしい。鼻が悪い為、熟
睡時の父はいつも大口を開けていた。勢いよく目覚めた父は私を抱えてト
イレへ走り、時すでに遅しだったと翌朝聞いたが、私にはトイレで済ませ
た記憶しか残っていないのだ。
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