MW/opus
 
ん彼らは彼女が
たくさんの男と寝ていたことを
知らない)

僕と妻は
そんな状況にあろうと
お互いにお互いを尊重した
お互いにお互いを譲り合った
その結果、
お互いの示唆はずれていった

僕と妻が出会ったのは高校の時だった
その時、僕らは互いを全く意識していなかった
それから社会人になり
街角で出くわした時、
僕の中で何かが
弾けた

その時彼女は唇を薄いピンクに塗り
髪は黒々として
緩いパーマをかけていた

彼女の手はとても小さく
それからしばらくして、
僕の手に収まり
薄い唇は
頬に

白い雪の降りしきる中
河口湖の畔の喫茶店で
僕は
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