夜更けの紙相撲 夏の墓/そらの珊瑚
 
の言葉らしいが、夏の墓には蝉を埋めてあげたいと思う。
 広島市での土砂災害は私の住む街からそう遠くないところだった。今まで体験したことのないような遠雷を、あの夜見た。今にして思えば広島の方角だった。
 得体の知れない不吉さと同時に、正直に書いてしまえば美しいと思った。(雷が怖しいのは光のあと遅れてやってくるあの音なのだ)音はしない静かな夜。すごい稲光の連続、それはまぶたを閉じても瞳が感知してしまうような、スルドイヒカリだった。
 あの夜、あの積乱雲があそこにあった理由は知らないけれど、もしかしたら自分の住む街であったかもしれない。72人の方がお亡くなりになり、行方不明の方もまだ二人おられると
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