空気と風の間/opus
夕暮れ空の下
夏風吹く土手の上
君がわーわーと泣く
僕は慰めるに慰められなく
オロオロとしていると
段々悲しくなって来て
ホロと涙が零れたら
もうお終いで
泣き出してしまった
君は一瞬驚いて
顔をまたくしゃっとさせて
そんな一瞬があった
そんな一瞬が過ぎた
そんな一瞬が残った
猫どもが周囲を徘徊する
光った目が無数に蠢く
ビルの隙間から
満月が此方を覗いている
「見るな」
脇腹から
赤い血がドロドロと流れる
生ゴミと合わさり
ムッとした匂いが漂う
君のあの時の悲しみは
僕の心を満たし
僕の心を救った
あの後、
君にはもう会え
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