ココナッツマン!ワンダーランドの町を出る/オダ カズヒコ
 


そこはアパートメントというよりも、防空壕のようであった。
うなずけないことではない。
ココナッツマンにとって、世の中は戦場のようなものであり、

いつ黒い嘴を持ったステルス機による、絨毯爆撃があってもおかしくはないのだ。
爆撃?ステルス機?それはココナッツマンの妄想に過ぎないのではないか?

ほら、ココナッツマン。外へ出てごらん、町は平和だよ。

彼は言う、

分厚いスクラップブックに綴じられた、黄ばんだ新聞記事の切り抜きを見せて、ここは半世紀前、戦場だったのだと。

アニーはココナッツマンを助けようと思った。

アパートから出て、酷く落ち着きのない、ココナッ
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