タイトスカートイニシアチブ/馬野ミキ
マンは現代の軍隊かも知れないな
山手線のホームを行進する
タイトスカートのなかに
窮屈そうに肉体がしまわれていることに興奮する
綿が
ポリエステルが伸びる
ビッグバンが拡大を目指すように
生地は丸みを帯び
今にも爆発しそうだ
そんなタイトスカートの女性を追いかけたことがある
都庁方面へと抜けるガードを尾行した
なんて素晴らしい尻なんだろう
ハイヒールサラウンドが辺りに響いていた
ガードを出る頃彼女は俺のほうへ振り返った
危険を感じたのかしら
なんと彼女は厚化粧のおかまであった
俺はホラー映画か悪夢でも見ている気分になった
そして犯罪を犯さないで助かったなととも思った
俺はUターンし新宿駅に向かった
職務質問され署で悪態をついた
パトカーで漫画喫茶の近くまで送ってもらった
俺は興奮していたし瞳孔が開いていた
パトカーから降りた時、中国人の女性が二人「あなたはVIPな人ですか?」と近づいてきた
少し遠くで中国人の男たちが見守っていた。
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