Baby, you/opus
 
大きなサングラスをして
真っ黒なロングドレスを着たサマンサが
乳母車を押しているのだが
中には何も無い

「何してるの?」
「言ったら嘘になるから言わない」
「そうやって逃げるの?」
「私はあなたのそういう所が嫌い」

ドレスに
ピンク色の乳首が
突起しているのが
ありありとわかる
もちろん、
僕にとっては

サマンサのうなじは
菫の匂いがする
そして、
バッハが好き

「あなたは嘘ばかり付く」
「でも、そうしないと僕らは繋がれない」
「だから、嫌になるのよ」

サマンサは
マルボロを取り出して
火を点ける
深く吸い
深く吐いた
僕らの間に
煙が漂い
霧散した先に見えた
サマンサの顔は
酷く強張っていた

僕は勃起した

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