ジカイダー/ただのみきや
ぼんやり開いた窓から
生活の群体が 声とも
匂いともつかない無数の触手を忍び込ませ
夕べを小さく折りたたんで往く
界隈のステテコ爺のように
この胸を徘徊する諦めの ブラシのような足音
持ち出す荷物は何もない
脱出用パラシュートも
遅れもハイジャックもありはしない
時という乗り物の確実性
安楽と為体(ていたらく)の無垢な抜け目のなさ
フワフワした夢想のわだかまりを
ペン先で紡ぐかき混ぜる
ただの空気と夕日に酔っぱらう
壊れたテレビのチャンネルをガチャガチャ回すように
卑しく妖しく
あやして癒して
知らず学ばず闇雲に走り
愛憎の蜘蛛に抱かれて{ルビ雁字
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