灰と熱/笹子ゆら
 
もう 燃えてしまったのでしょうか
あなたが転がす言葉に震えて
いとおしさに狂いそうになった夜も


もう 燃えてしまったのでしょうか
認めてしまったら苦しくなるような
どうしようもない感情も
想像を超えた嫉妬も


もう 燃えてしまったのでしょうか
灰になって風に吹かれて
どこか遠くにとばされて


あなたの中にいるわたしは
燃え尽くして 砂塵となって
もう片隅にも
なにも残っていないのかもしれない
そっとささやかれた呟きも
甘い手のひらも
わたしのためには使われないまま


もう 燃えてしまったのでしょうか
わたしのなかのあなたは
未だ燻る熱として
衰える様子も見せないのに

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