誰もいない小屋でした/
煙と工場
だけで
誰もいない小屋は
さびしくないけれど
さびしがりやのつるは
誰もいないのを確かめるように
誰もいない小屋をだきしめて
ぎゅっとだきしめて
誰もいない小屋は
ある時燃やされて
灰色のビルになって
たくさんの人がいるのに
以前よりも一層
誰もいないままで
蜘蛛も
蝶も
つるも
いないままで
灰色のビルになった
誰もいない小屋は
なんだか少し悲しくなって
灰色の涙をぽつりと
流すのでした
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