Eyeと詩の間(はざま)で/ハァモニィベル
拭けるわ」
なんて、ぼくに文句も言わずに
それが君だった。
《その》
美しい口唇を
今ぼくは、見ている
あの頃のぼくが、
あの頃のきみの口唇を
もうじっと動かない口唇を――。
《その》
一瞬の、
一瞬の空想の果てに
死に絶えた窓は皆
蘇った生の響きに蹴破られ
彼女を包んでいたぼくの瞳に
かけがえのない一瞬が満ちて零れた
ぼくの睫毛がそっとやさしく聞いた
「もう眠ったのかい」
「うううん
・・・・・・・
・・・愛してるわ」
「ああ、僕もさ。づっとね」
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