サカテカスの殺し屋/オダ カズヒコ
サカテカスの路地を
さちはトボトボと歩いていた
やっと思いで辿りついた
この町の丘の上にある宿の
スプリングの弾けたベットに 彼女はグッタリと横になり
スーツケースとパンプスを投げ出して
細長い部屋に白く塗られている
天井のペンキを見つめていた
あしたのバスで
メキシコシティまで 行こうかな?
なんてぼんやりと 思いながら
さちの泊まった宿は
サカテカスの町から 丘の頂上へと続く
舗装された道のどん突きにあり
部屋の窓からは
町がよく見渡せる
古くって
美しいはずのサカテカスの町が
なんだか
やるせなく見えた
公園や広場や 教会が眼下
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