野性の夢/梅昆布茶
 
草原を遠望する瞳は
遥かに一閃する時の煌めきを見逃さなかった

確かな四肢は沃野を愛し
太陽や月や星座と寝起きをともにし
ときおり微細な流星が空をよこぎってゆく

瞬間を感じそのものを生きていた

ただ野性という感性だけをたよりに
愛することも食いちぎることさえも
厭わなかったのだろう

いのちは循環し
遠い記憶へと遡って行く

生きた気配もいつかは
光の粒子となり時間という
風にのって
漂流しはじめるのだろう

はてしなき漂着点をめざす種子のように


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