私を認めて/ただのみきや
 
私は自分の信じたいものを信じ
見たいものを見つけ出し
聞きたい言葉を探し出し
不都合な事実は無視し耳を塞ぐ
反論に備えて(怯えて)理論武装する
あたかも敵国を想定して軍事演習をするように
そもそも真実よりも
あるいは事実の多面性を学び立場異なる人々と
理解し合い共存し合うことよりも
私が信じていることの優位性を
否むしろ私の優位性を証明したいだけなのだ
だから仮に真逆のことを信じていても
私のやることは同じだろう
現実では手に入らないものを
ネットの世界で手にしたくて
奇妙な矛盾だが
本名を隠し
キャラクター作りに余念はない
実の姿は誰にも見られない知られない
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