貴種流離譚 (きしゅりゅうりたん)/……とある蛙
昔々のその昔
東勝神州の小さな島国
国がとても若い頃
残虐な無残な報復の果て
滅びてしまった王家の話
青空見上げ兄は涙する
謀殺された父に涙する
暗い地面を凝視して
弟は疲れ果てて涙する
着の身着のまま逃亡し
聞けば
父は王家の有力者
従兄弟に誘われ狩りに出て
騙しの狩りのその途中
非情の矢で射抜かれて
そのため落馬し倒されて
その後切られて刻まれ
熟瓜のようにぐじゃぐじゃと
父は後から謀反人
死体はちりぢり、ちぎられて
そのうえ厠に捨てられる
彼ら二人は旅の果て
涙流して山代(やましろ)の
苅羽井(かりはい)にようやく逃げ
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