感性で読みとく現代詩:「夏の光に」/あい
あった」とあることから、冬に降りそそいでいた光なのかもしれません。そのイメージは研ぎ澄まされた寂しさや孤独、といったところでしょうか。昇華されたその美しい感情はいたるところにみいだされています。もちろん空気を構成する気体の分子にも含まれているのでしょう。やがてその重みに耐えかねるように雨が降ります。感情は感触へと変化して、純粋な子供たちの手のひらで感受されています。
モーヴ色に咲いた野草の花、憔悴の果ての素朴な愛の告白のようにあらわれた「きみの心」は、沈黙をもって詩的主体に語りかけているように思えます。「日がおちてもそこにいた」のを知っている詩的主体。ことばのない空間を共有しているうちに、ふと
[次のページ]
戻る 編 削 Point(3)