うたげのうた/なけま、たへるよんう゛くを
 
 軽業師。
曲芸の始まり。くるくると観客席を回すのだ。いや、回っているのは軽業師以外の全てだろう。逆回転!これは逆回転だ!。そういった類の句を叫び出すと蓄音機とみなされ退屈なテント外へ放逐されてしまう、故にこの娯楽は玄人好みなのだ。相変わらず回し続けているが中心を見つめると銀河遠景。


 貝のような声で蜃気楼が鼻をつんざく。
観客も歓声を言う。大盛り上がり!大盛り上がりだ!。そういった物言いは劇団員とみなされ色めいた団長の部屋へ消える、だからこの遊びは団長と隣り合わせなのだ。見つめるうち帽子がフワリと浮く。黒ハトが悠々と出で帽子ごと団員を噛み千切る!。大喝采の屋。

 いつのまにか
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