真珠/千波 一也
 

月のひかりを浴びながら
つめたくなってゆく
花たちの夏

大樹の枝に
かぜは寄り添って
静かに通過してゆく

静かに
静かに
無かったことになる

命あるものの
頼りなさを受けとめて
泣いている森が聞こえるか

遠く
星の灯りにあこがれる
草原たちよ

ひと波よ







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