ラストフライト/ただのみきや
い同じ兄弟たちだ
生まれた瞬間から
誰もが死から逃れて生へ走り続けた
運が良かったのかも解からない
ただまるで途轍もなく大きな動物が
美しい世界の均衡を保つために 初めから
定められていたいのちの数を平らげただけで
たまたま残った側にいただけのこと
早いか遅いか
先か後か
ほんのちょっと
翅の先っちょの差
交尾が終わってから気づいたんだ
わかるんだよ
いのちの残量が腹の辺りにあってね
まあ天気に恵まれれば
あと三回くらい朝陽を拝めるだろう
明日には出発して
海へ出てみるさ
陸を全く感じなくなるまでね
いのちが尽きて落っこちて
なにもかもすっかり消えて無くなる
最後の瞬間
懐かしい水に抱かれたい
そんな気持ちになったんだ
なんだか不思議なものだね
《ラストフライト:2014年8月13日》
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