ラストフライト/ただのみきや
 
ゆっくり飛ぶことを覚えると
世界中が振動していた
いのちは飛沫を上げて
たゆたいゆらいでいた
風が凪げばふわり
お天道様と池の間に佇んで
煌めきって残酷だ
元気なものへは恩恵
弱ったものからは容赦なく奪う
光には重さがあるのさ
長くは止まらない
最近知ったことだけど


ずっと変わり続けて来た
否応なしに 生きるってたぶんそうなんだ
ぬるくくぐもる水の中から
陸に上がって皮を脱ぎ捨てた
古い世界ごとね
息が止まるほどだったよ
熱い光が降り注ぎ大気は絶えずうねり
植物たちの生の息吹が膨らんでは弾けていた
無数のいのちが華々しく 喰ったり喰われたり
なんて
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