貴女は死、夜の眠り/凍月
つまらない事でも
人は死にたくなるものだ
どうしようもなく死にたくなって
家を飛び出した深夜
空が墨汁でも零したのか
夜がどこまでも黒い
1と0に点滅する電灯を辿って
いつしか僕は森に入った
羽虫が耳の横を通り
脛を草木が掻く
柔らかい土の間隔
死にたい
というシンプルな願望、虚無感
そこで僕は異変を感じ
立ち止まった……
どうやら森の奥まで来ていたようだ
鬱蒼としていた視界が
数メートル先は開けている
ふらふらと
僕は歩いていった
そこは空き地のようだった
そこは空気が湿っているように感じた
何かの輪郭が見えるが
それが何なの
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