陽子のベクトルは太郎を指向するのか/草野大悟2
 
、新入部員という立場上、年下のリーダーに従わざるを得ない。
 (この大吊り橋を、この重荷背負って渡る訳? 俺、超気が進まない。高所恐怖症だし)いきなり、高所恐怖症を発症させる太郎だった。
 しぶしぶ、ぶつぶつながら、やっとのおもいで大吊り橋を渡りきった頃から雨がひどくなってきた。大急ぎでポンチョを取り出し、頭からスッポリ被る。
 ひたすら下を向いて、リーダーの足ばかりを見て、景色を眺めるどころではない。
 一二時五○分、ウリッコ沢小屋に到着。昼メシ、昼メシ。準備してきたレーションを取り出し、ポリタンの水をコッヘルに注ぎ、ホエーブスで沸かす。湯が沸いてきたところで、
一番安い日東紅茶のティ
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