陽子のベクトルは太郎を指向するのか/草野大悟2
→→大嫌い!!」と流れるように繰り返される「ロクデナシワールド」に打ちのめされ、ショボン・・・とはならなかった。
ここまでロクデナシを連呼するか、普通。ねぇ、と太郎は誰もいない古い家の古い間借りの古い机の上で、コーラ瓶にさされて所在なさげなフリージアに話しかけた。
私に話しかけられてもねぇ
フリージアは、はなはだ迷惑モードを全開させて、さっさと横を向いてしまった。
陽子は、浩一郎との特訓のおかげで、大学四年の春におこなわれたテコンドー世界大会四十六キロ級で見事に優勝し、長年の夢を実現させた。
浩一郎の歓び様は、親バカもここまでくれば一つの芸術だな、との訳の判からない評価を周りから
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