降り来る言葉 LXVII/木立 悟
 
押しつけ
すぐに忘れてしまう言葉を繰り返す
心臓の近くに降る無言を繰り返す


足元を歪める暗い光を
四角に四角に蹴りながら
泥の灯り 錆の埠頭
振り返ることのない影の波


冬を越えてくる冬が
高い曇を廻している
ほどけ積もる白と黒
足跡のない一瞬の朝の原


棄てられた幌馬車に雷が落ち
静かに静かに燃えつきてゆく
草地も林も
目をふせる


空と頭蓋をつらぬく柱が
まぶしくかがやき夜を照らす
痛みは冷たい影のように
空の端 柱の先から降りそそぐ

























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