闇夜のバス/……とある蛙
空港からへ
豪勢なバスに疎らな人々
錦江湾に屹立する桜島が背後から覆い被さる道
雄大な景色が灰色に押し潰される。
逃げるように疾走するバスは異様に速い
闇夜がとんでもないスピードで飛び去って行く。
片側一車線か二車線か
ヘッドライトが反対車線から現れない山道
猛スピードでこの闇夜の山道を突っ走るバス
決まった時刻表があるのか
途中のバス停に止まることはない
ただひたすら突っ走って急カーブ
坂道前方を走る軽自動車を抜き去る
目的地の裁判所も通り過ぎ
田舎町のバスセンターでしばし時間調整
大隅半島最大の都会のバスターミナルは
赤提灯の似合う小さなベンチが並ぶ路地だった。
もの悲しいベンチには
所在なげに涼をとる婆ぁさんたち
この街の爺さんたちはもう寝静まったのか
午後八時、鹿屋の風景。
市役所方向へ
またゆったりと走り出すバス
街の闇に向かって走り出すバス
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