きっと/ichirou
 
祭りの翌朝
小雨降る広場で
ゴミと小銭を拾うお年寄りを蔑む中年夫婦が
小さな野花を踏んだ

こんなに綺麗な花なのに
本物の生きている花なのに
偽物だらけのこの世の中に
確かに信じられる本物の花なのに
残酷な無関心は
静かに通り過ぎてゆく

きっと

ゴミと小銭を拾うお年寄りは
野花を踏むことはない

きっと

踏まれた花は
また小さく立ち上がる



戻る   Point(16)