帰還/為平 澪
{引用=海から星が産まれるように
キラキラとしたものたちの共鳴で
光をつないでゆくように
人は空の軌道を輝きながら渡ってゆく
産まれたときは ふくよかで丸かったものが
未来に時間を手渡してしまうとき
にぎりこぶしは力を失い ささくれだった節々から
尖骨が薄皮を破って突き出し
平たく大きかったものは 破れて縮こまっては悄気てゆく
(お父さんとお母さんは、 私が産んだのですか)
細く笑う父の歯の隙間を抜ける風
私の視線の下に投げ出された 母の肩には 鉛の荷物
(いいえ、私が父と母から全て盗んできたのです)
あんなにもふくよかに笑って
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