虚構の道/佐白光
 
駅へと向かう道沿いの一画が

何年か前から空き地となっていた

人々は空き地を横切り駅へと急ぐ

一年を通して一日中 人々が行きかうためか

獣道ならぬ 人間道が出来上がる

春から 夏へと季節が移っても

人間道には 雑草も生えない

周りの草が 腰の高さ程になっても

人間道は スジを通している

踏みつけるものと 踏みつけられるもの

生命の存在も許さない 踏みつける圧力

自分の足の行方を 追ってみる

人間道は 虚構への入り口



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