沢庵と月と扇風機/石田とわ
 

     カナカナと遠いどこかで
     かなしげに、
     啼く声を聴きながら
     今日という日を
     麦茶漬けで締めくくる
     さらさらとなんでもない事のように
     身のうちにおさまってゆく
     お疲れさまというように
     浮かんだ沢庵噛みしめながら
     熱気をかき回す扇風機がうらめしく
     消したりつけたりを繰り返し
     満ちたりない月に明日を重ねる




    

 
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