石を投げたら土をかけろ/木屋 亞万
 
めたくせに
説得するのは今回だけだと怒鳴る
帰りたい奴は地に帰ればいい

どこかで聞いたことのある
見たことのあるものばかり
そんな愚物に喜ぶものは
汚れを知らぬ小さな子どもと
記憶も蓄積もない凡愚ばかり
やがて彼らも腐った言葉に
口も耳もふさがれるのだ
聞こえるのは栓から漏れ出る
嗚咽まじりのうめき声

どれだけもっともらしい言葉を吐いても
お前らは何も語っちゃいない

じゃあどうすればいい
どこを治せばいい
何を学ぶ必要がある
美を見つめる眼鏡はどこだ
世界に触れるための手を
骨折してしまった馬鹿に
まだ治る余地はあるのか

私はまだ甘美な
桜桃の味を知らない
舌は渇き
胃は飢えている
だけどしばらく
ひとりにしてくれ

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