石を投げたら土をかけろ/木屋 亞万
 
どれだけもっともらしい言葉を吐いても
お前らは何も語っちゃいない

目に映るものすべてが腐って見える
狂ったように照り付ける日差しも
鉄板になったアスファルトも
粉塵を巻き上げて走る乗用車も
わずかな街路樹に集団で鳴き喚く蝉も
不気味に増殖した遠方の入道雲も

涼しい安全地帯にいるみなさんお元気ですか
お前らはお元気でしょうね

何を描写しても
どんな感情を言葉にしても
お前らの言葉はすべて
手垢のつきまくった古びた言葉だ
カビが生えて腐っている
称賛も罵倒も意味をなさない
攻撃も擁護も本質には届かず
虚しく空を切るだけ
お前らが交わしてるのは会話じゃない
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