国道9号線を走った/馬野ミキ
いう刺青を足に入れている人もいた
時々知らない女が隣の部屋で泣いていた
松田さんとはそれ程親しくなかったが
俺はトイレに行くと言ってカラオケボックスを飛び出し
白兎駅に向かって国道9号線を走った
じきに先輩たちの車が追いかけてきて俺を見つけてくれた
ミキ どこに行くんだ!
松田さんの声が聞こえます!
俺は嘘をついた
そんな声は聞こえない
ただカラオケで馬鹿騒ぎしている自分たちがいやだったのだ
俺はY先輩の胸で泣いた
Y先輩はミキ泣くな!と怒った
翌日、同級のKが「本当に松田さんの声が聞こえたのか?」と俺に問いただした
Kと俺はこの暴走族の最低学年の二人の道化としてグループを支えていた
俺は「うん、聞こえた」と言った。
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