zenith/高原漣
 


「だだっ広い銀河のどこへだってひとッ跳びで」

タンホイザーゲートのC-ビームが煌めくさまが、さそりの脳裏をよぎる

「あの戦艦はそりゃあすげぇもんだったよ」

星々をめぐる、人類史にその名を刻まれる恒星間航行可超弩級戦艦の勇姿を

その場にいた誰もが思い描いていた

亜空間に降る雪

朽ちた鉄の屋根

天翅の子守唄

胸に咲く薔薇

かの宙船にまつわる様々な思いが酒場のテーブルの上を転がった

「あの艦ですら沈んじまう日が来るなんてなぁ」

さそりが日の落ちた宇宙をあおぎ見る

天頂に、蒼い星が輝いていた

人類を打ち倒した

かの使徒たちの母なる星が

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