粉雪/寒雪
 
葉を交わすこともなく


冷たい何かが頬に当る
見上げると
あの日と同じ粉雪
あちこちに体をぶつけては
溶けていなくなっていく
きみが最後に
ぼくに言ったこと
今のぼくなら
とてもよく深く
分かることが出来るよ
きみもぼくも
あの時はっきりと
望むものは実は
ありはしないんだと
はっきり分かってしまったから
手のひらの上で
小さく微かな水滴の
信じられない重さが
ぼくにそのことを
今でも突き付けようと
気持ちの奥底に居座って
消えてくれない


ひたすら年月を
みんなと平等に過ごして
ひとつ気づいたことがある
それは
薄れてはいくけど
きみと積み上げた日々は
ぼくの中に埋み火となって
ぼくの心を温め続ける
それだけはきみに
謝らなければいけない
そう思うんだ
そんなぼくを
やっぱりきみは笑うだろう
それだけは
根拠はないけど自信はあるんだ

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