詩と詩人と似非批評/ただのみきや
 
犬を連れた二人の男が行き会った
血統書付きの犬を連れた方が自慢を始め もう一方に
「雑種なんか飼うのは時間の無駄だよ」
ああ 好きか嫌いか別として
そんな考え方があってもいいのだろう
もっとも犬たちには
どうでも良いことなのだが

近くで遊んでいた子供たちが
犬を見つけて寄って来た
血統書付きの犬は躾も行き届き黙って座っていたが
雑種は尻尾を振って嬉しそう
愛想よく吠えたり跳ねたり
「こっちの犬の方がかわいいわ」
そう 理屈を抜きにして
幼い心は自分の好みを知っている

誰かが決める犬の価値に
とやかく言う気はない
たぶん当の本犬たちには
どうでも良いことな
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