自然/葉leaf
ただろうし地すべりも起きただろう。水と大気は地球を循環し、火山は噴火し、そういう無数の自然の変化が私と上司の間に挟まっているように感じたものだった。
私とその上司は世代が違っていたため考え方が違っていた。だがその隔たりを前にしたとき、私を支配したのは圧倒的な自然の広がりのイメージ、自然の流転のイメージだった。人間を隔てるものは経験の蓄積や因習などといった平凡で生臭いものではない。端的に、間に自然が、自然の時間と空間が、あくまで澄んだまま挟まっているにすぎないのだ。
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