島の女/オダ カズヒコ
 
腹にもたれはじめる
麺の上に乗っかってた
生焼けの肉のせいかもしれない

すべてに嫌気が差したころ
海が見えた

ほらね

女は子供のように
目をくりっとさせて言った
あぁ海だ
間違いない
するりと腕を回した女が
ぼくの手をぎゅっと引っ張った
海風よりも強く
確かな感触だった

放置されたユンボやブルドーザーが
浜の近くにあり
ぼくらは幾度か植物の根っこに躓きながら
浜へ出た

スニーカーを脱いだ
ホットパンツからするりと伸びた
女の白い足が
はじめて目に入った
ねぇ綺麗でしょ!
ここから見る眺めが
一番スキなの!

ぼくはサングラスを掛けなおし
女に言った
確かにオジサンにも
悪くない景色だ

なんだ
ノリの悪い人!
そう言うと
ぼくにくるりと背を向け
女は
裸足のままで海に近づいて行った

拝所の中に眠る
まだ陽の昇りきらない朝の
白いコーラルの道に
海風と塵埃が飛び散るように


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